静岡地方裁判所浜松支部 平成4年(ワ)14号 判決 1992年5月12日
主文
一、原告の請求を棄却する。
二、訴訟費用は、原告の負担とする。
事実及び理由
第一、請求
原告が被告に対し別紙約束手形目録記載の約束手形の手形金合計八二六万九八〇〇円の債務を負担していないことを確認する。
第二、事案の概要
一、争いのない事実
1. 被告は、昭和五四年一一月一四日静岡地方裁判所浜松支部仮差押命令により、原告に対する別紙約束手形目録記載の約束手形の手形金合計金八二六万九八〇〇円の債権に基づき、原告所有の別紙物件目録記載の土地及び建物につき仮差押をした。
2. 被告は、右約束手形金について原告を被告として同裁判所昭和五五年(手ワ)第一六号約束手形金請求事件を提起し、昭和五五年六月一三日認容の判決の言渡しがあった。
原告の異議申立てにより、同裁判所昭和五五年(ワ)第一六七号約束手形金請求事件として審理され、昭和五六年一月一六日手形判決を認可する判決の言渡しがあった。
3. そこで、被告は、右判決に基づき原告所有の別紙物件目録記載の建物につき不動産強制競売の申立てをなし、同裁判所により競売開始決定がなされた。
4. ところが、その後剰余が生ずる見込みがないということで、昭和五六年一二月一二日右競売開始決定が取り消された。
二、争点
原告は、被告が右決定取消後権利の行使をしないから本件手形債権は平成三年一二月一二日の経過により時効消滅したと主張し、被告は、右決定取消後も原告は被告に和解の提案をするなどし、消滅時効は完成していないと主張した。
第三、争点に対する判断
一、本件手形債権の存在は静岡地方裁判所浜松支部昭和五五年(ワ)昭和一六七号約束手形金請求事件の確定判決により確定しているところ、右判決の確定時から既に一〇年を経過してはいるものの、本件手形債権に基づき原告所有の別紙物件目録記載の土地及び建物に対する昭和五四年一一月一四日同裁判所仮差押命令による仮差押がなされていることは当事者間に争いがなく、この仮差押は現在も存続しているから(甲四、五)、本件手形債権に対する消滅時効の進行は中断され、消滅時効は完成していないことになる。
二、右のとおりであって、原告の請求は理由がないから、主文のとおり判決する。
物件目録<略>
約束手形目録<略>